日本人には常識、旅行者は知らないこと
ガイドブックに載らない理由は単純だ。地元にとって当たり前すぎて、説明する必要がないからである。
この館の代表的な展示は、人体から採取された全長8.8mの日本海裂頭条虫(サナダムシ)の標本だ。その横に同じ長さの白い紐が吊るしてあり、実際に引っ張って長さを体感できる。宿主だった男性は3か月間、自覚症状がなかったという。
1953年の創設以来ずっと無料だ。「啓発にお金をいただいてはいけない」という創設者・亀谷了の方針による。代わりに入口に寄付箱があり、2階のミュージアムショップの売上が貴重な運営財源となっている。財政は今も楽ではない。
2階のミュージアムショップでは、本物の寄生虫をアクリルに封入したストラップやキーホルダーを販売している。一つひとつ異なる寄生虫が入っているので選んで買える。サナダムシが描かれたTシャツや「寄生虫カルタ」もある。
休館日が月・火の二日あるので、週末の旅程に組むときは注意がいる。月・火が祝日の場合はその日は開館し、直近の平日に振り替えて休む。開館は10時から17時まで。
目黒駅から徒歩12分ほどで思ったより距離がある。建物の入口は非常に地味で、通り過ぎやすい。中に入ると図書館のように静かな空気だ。個人利用に限り撮影ができる。
どんな場所か
世界で唯一の寄生虫専門博物館。1953年、医学博士・亀谷了が私財を投じて創設した。1階は「寄生虫の多様性」、2階は「人体に関わる寄生虫」をテーマに約300点の標本を展示する。収蔵標本は約6万点、図書文献は約1万6千冊。入館料は無料で、運営は寄付とミュージアムショップの収益で支えられている。
何を頼むか
地元で愛される理由
寄生虫という極端に狭い主題ひとつを扱うが、外国人来館者のあいだで静かに知られている。無料であることと、他では見られない展示がその理由だ。館長は「きれいに見ていただくことで、寄生虫のイメージをリセットしてもらいたい」と語る。