TOKYO 23
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「東京三大煮込み」は誰が決めたのか

公的な認証でも組合の選定でもない。1990年に出た一冊の本から始まった言葉だ。

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東京の酒場を調べていると「東京三大煮込み」という言葉に出会う。どこか公的な認証のように聞こえるが、そうではない。

太田和彦『居酒屋大全』(1990)が、北千住・大はし、森下・山利喜、月島・岸田屋の三軒を挙げたのが始まりだ。のちに立石・宇ち多゛と門前仲町・大坂屋を加えて五大煮込みと呼ぶようになった。つまり一人の書き手の選定が定着した言葉である。

五軒

大はし北千住足立区
山利喜森下江東区
岸田屋月島中央区
宇ち多゛立石葛飾区
大坂屋門前仲町江東区

五軒のうち一軒だけが違う

大坂屋(門前仲町)
江東区

1924年に屋台で始まり、1947年に現在地で再開。五軒で唯一の串煮込み。

四軒は器に盛って出るが、大坂屋だけが煮込みを串に刺す。なんこつ・シロ・フワの三種が混ざって「一人前」単位で出てくる。部位を一つずつ選んで頼む店ではない。

大坂屋でだけ通用すること

  • 座ると「煮込みは一人前でよろしいですか」と聞かれる。「はい」でいい
  • 店内撮影禁止。三日月型のヒノキのカウンターも鍋も撮れない
  • 締めは玉子入りスープ — 煮込みの煮汁に玉子を落としたもの
  • 酒は梅割り。氷とチェイサーを頼める

営業情報が資料によって違う

大坂屋は16時開店だけが一致し、閉店は19時・20時・21時と資料が割れる。定休日も「日・月・祝」と「月・木・日・祝」の二通りが出回っている。古い情報がそのまま残っているためだ。材料がなくなれば閉める店なので、早い時間に行くことが唯一確実な方法である。

残りの四軒

大はし
足立区

1877年創業。煮込みは一人二皿まで。

山利喜 本館
江東区

宇ち多゛
葛飾区

メニューは「もつやき」の四文字だけ。部位と調理法を組み合わせて言う。

五軒に共通すること

  • すべて大衆酒場だ。改まった服装で行く場所ではない
  • おおむね現金。カードが使えない店が多い
  • 回転が速い。二、三杯やって出るのが流れだ
  • 岸田屋はこのサイトにまだ載せていない。確認が済んでいないためである

「三大」「五大」という言葉は、結局一人が好んだ店の一覧だ。それを知って行けば、一覧にない店に出会っても落胆しない。

営業時間と定休日は変わることがある。訪問前の確認をおすすめする。