一つのものだけが集まる街 — 骨董60軒、劇場七つ、とんかつ50軒
東京には一つの業種が一つの街に集まっている場所がある。集まったのには理由がある。
東京を歩いていると一つの業種が一つの街に集まっている場所に出会う。偶然ではなく、たいてい百年前後の事情が残ったものだ。
骨董 — 地震が作った街
駅の北と南に40〜60軒。通称「骨董通り」が中心。
西荻窪に骨董店が集まったのは関東大震災のためだ。被災した文化人がこの一帯へ移り住み、そのとき建てられた邸宅から家具や調度品が売りに出されて、扱う店が増えた。1980年代にはすでに「骨董通り」のイメージが定着していた。
回り方
- 一列に並ぶ商店街ではない。路地ごとに散らばっている
- 全部回ろうと決めると疲れる。目的地を決めずに歩くほうがよい
- 13時開店が多い。午前に行くと閉まっている
- 毎月第3日曜 — 神明通りあさ市(1975年〜)
- 11月第3週末 — 参加店舗でお茶がふるまわれる街歩き
劇場 — 一人が作った演劇の街
1982年開場、386席。下北沢が演劇の街になった出発点。
下北沢に劇場が集まったのは本多一夫という一人のためだ。1982年に本多劇場を開いた後、同じ街に次々と劇場を出した。
| 劇場 | 客席 |
|---|---|
| 本多劇場 | 386席 |
| ザ・スズナリ | 170〜230席 |
| 駅前劇場 | 180席 |
| 「劇」小劇場 | 130席 |
| OFF・OFFシアター | 80〜90席 |
すべて徒歩数分の距離だ。規模が小さいほど新進の劇団が使うことが多い。
チケットは公演により7,500〜8,800円ほどだが、22歳以下・25歳以下の割引券が別にある。3,800〜5,500円台で、当日に身分証を見せて引き換える。
注意が一つ。クロークもコインロッカーもない。座席幅も広くないので、大きな荷物は駅のロッカーに預けてから行くほうがよい。
とんかつ — 上野から分かれた技術
50軒以上がしのぎを削る。丸一・檍・まるやま食堂が御三家。
蒲田にとんかつが集まったのは上野のカツレツ流行の後だ。そこで修業した職人が独立して蒲田に店を出し、姉妹店や暖簾分けで技術が広がった。
御三家の三軒は同じブランド豚(千葉県産・林SPF)を使う。しかし揚げ方が違うため、断面の色と食感が分かれる。同じ材料から違う結果が出るのが、食べ比べの面白さだ。
並び方
- 並んでいる間に店員が注文を聞きに来る。先に決めておくこと
- 檍は道路の反対側から並ぶのが流儀だ
- 丸一は11時10分ごろ極上ロース、11時30分ごろ上ロースが売り切れた日がある
- 丸一の夜営業は水曜と土曜のみ
- ソースより塩で食べろというのがこの街の定説
同じ原理、別の業種
一つの建物の中に同じ業種が層をなす。
中野ブロードウェイは街ではなく建物一つに同じ業種が集まった例だ。集まれば比べやすくなり、比べやすければ人が集まる。原理は同じである。
まとめ
- 西荻窪 — 午後に、目的地を決めずに。第3日曜ならなおよい
- 下北沢 — 荷物はロッカーへ。25歳以下なら割引券を確認
- 蒲田 — 開店前に到着。塩で
営業時間と公演日程は変わることがある。訪問前の確認をおすすめする。