TOKYO 23
コース

神保町の一本の路地に喫茶店が四軒 — どこに座るかで一日が変わる

同じ路地なのに流れる音楽が違う。静かに読むか、タンゴを聴くか、先に決める。

TOKYO 23

神保町は古書店街として知られるが、実際にこの町を支えているのは本を読む場所だ。靖国通りから一本入ると、性格のまるで違う喫茶店が徒歩数分の中に集まっている。

トーテムポールのある店 — そして隣

さぼうる
千代田区

1955年創業。店先のトーテムポールと赤い公衆電話が目印。

神保町でこの外観を知らない人はいない。ただしここで食事を頼もうとすると噛み合わない。本店は飲み物と軽いトースト中心で、ナポリタンやピザトーストのような食事はすぐ隣の2号店が担当する。

さぼうる2
千代田区

食事専門。普通サイズがすでに大盛り。

1955年に一緒に始まった兄弟店が並んで建つ。腹が減っているなら最初から2号店の扉を開ければいい。

お品書きの隅に「イタリアン」がある。ほぼ全員が赤いナポリタンを食べる店なので目立たないが、ケチャップではなく塩味で、同じ麺をまるで違う顔で出す。

同じ路地、正反対の二軒

ラドリオ
千代田区

1949年創業。日本で最初にウィンナーコーヒーを出した店として知られる。

ミロンガ・ヌオーバ
千代田区

喫茶店の看板ながら世界のビールが100種。一日中タンゴだけを流す。

この二軒は同じ路地に並んでいる。しかし中に入るとまるで別世界だ。

ラドリオミロンガ・ヌオーバ
音楽静かなクラシックアルゼンチンタンゴ、終日
雰囲気煉瓦の壁、低い照明音が大きい
向く用途会話、読書昼酒

神保町の常連はその日の気分で二軒を使い分ける。静かに話したければラドリオ、音楽に身を任せたければミロンガだ。「ミロンガ」はタンゴを踊る舞踏会を指すスペイン語である。

カレーもこの路地にある

欧風カレー ボンディ 神保町本店
千代田区

欧風カレーという分野を作った店。カレーより先に出る芋が本命。

注文するとカレーより先に、茹でた芋にバターを乗せて出てくる。これだけを食べに来る人がいるほどだ。辛さは3段階で、「中辛」が基準になる。

本はどこで買うか

一誠堂書店
千代田区

神保町の古書店主たちが修業した「学校」と呼ばれる。

見た目には入りにくそうだがそのまま入ってよい。古書店は見るだけの客を拒まない。

文房堂
千代田区

1887年創業の画材店。建物自体が登録有形文化財。

画家でなくても、1階の雑貨コーナーに買うものがある。

この町で守るべき一つ

日曜に来ないこと。古書店街そのものが日曜に静かになる。さぼうるも日曜は確実に休み、一誠堂も同じだ。祝日は開くが18時に閉める店が多い。

平日の午後がこの町の時間である。

営業時間と休みは変わることがある。訪問前の確認をおすすめする。